佐保姫
日本における春の神。
五行説では春は東の方角にあたり、平城京の東に佐保山があるために春の神は佐保姫と呼ぶようになった。白く柔らかな春霞の衣をまとう若々しい女性。春の季語であり和菓子の名前に使われている。 竜田山の神で秋の竜田姫と対を成す。
四季神の一人であり、春の佐保姫、夏の筒姫、秋の竜田姫、冬の白姫(宇津田姫・黒姫とも)という神の一人。
佐保山は桜の名所であり、『かたちあるにあらず、天地の色を おりなすをかりに名づけたるなり(改正月令博物筌)』 と伝えられているように、桜の霞が彼女の衣の裾、月を櫛や簪に見立てたんだそうな。
日本には八百万の神がいますが、そのなかでも随分と美しくロマンにあふれた神様ですね。
四季をつかさどるというからにはそれなりに美しくなければいけないということなのでしょうか……
ちょっと話がそれますが、上で「四季神」と打つとき、間違えて「式神」と打ちそうになりました。あながち誤字でもないのが気になります。
話を戻して、佐保姫って春の季語にもなってるんですね。佐保姫が使われている和歌を調べてみました。
さほ姫のそめ行く野べはみどり子の袖もあらはに若菜つむらし
順徳天皇「紫禁和歌草」より
ねむれる春ようらわかき
かたちをかくすことなかれ
たれこめてのみけふの日を
なべてのひとのすぐすうち
さめての春のすがたこそ
まだ夢のまの風情なれ
ねむげの春よさめよ春
さかしきひとのみざるまに
若紫の朝霞
かすみの袖をみにまとへ
はつねうれしきうぐひすの
鳥のしらべをうたへかし
ねむげの春よさめよ春
ふゆのこほりにむすぼれし
ふるきゆめぢをさめいでゝ
やなぎのいとのみだれがみ
うめのはなぐしさしそへて
びんのみだれをかきあげよ
ねむげの春よさめよ春
あゆめばたにの早(さ)わらびの
したもえいそぐ汝(な)があしを
たかくもあげよあゆめ春
たえなるはるのいきを吹き
こぞめの梅の香(か)にゝほへ
島崎藤村「佐保姫」より
島崎藤村はあまり興味はないのですが(自分が愛してるのは西條八十)、この歌はいいですね。表に出たくなる歌ですよね。
もうすぐ春が来るので、桜が咲いている地に佐保姫も来るのではないでしょうかとか、そんなことを思います。
早く春が来ないかなぁ。寒いのは嫌いなんです。ごめんなさい白姫。
竜田姫は……気が向いたら調べるかもしれません。でも内容的にはあまり佐保姫と変わらなそうだからどうだろうなー
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